梵字を書くことに集中した。筆を持つと、自然と背筋が伸びる。神聖な文字を描くという行為には、ただの書き物以上の意味があるように感じる。
最初の一筆を入れるとき、少し緊張した。線の一つひとつに祈りが込められるような気がして、慎重に筆を進める。書き進めるうちに心が落ち着いていく。まるで、梵字が自分の内側の静けさを引き出してくれるようだ。
書き終えた後、紙をじっと見つめる。そこにあるのはただの文字ではなく、私の祈りの形。梵字を書くことは、心を整え、願いを形にする時間なのかもしれない……
先生に手直ししていただき光栄です!
ふと足を止めた。目の前には、たくさんの蝶が舞っていた。風に乗って、ひらひらと軽やかに揺れる姿は、まるで時間の流れそのもののようだった。
ただ眺めているだけなのに、なぜか涙があふれてきた。蝶の羽ばたきが、心の奥に触れたのかな。何かを思い出したわけではない……
ただただ、言葉にならない感情があふれた。
蝶は何も語らない。ただ舞い続ける。その姿に、何か大切なことを教えられた気がする。